第5章 安土城にて
襖が開くと豊臣秀吉、明智光秀、伊達政宗、徳川家康、そして織田信長が集合していた。
襖が開いた途端、全員の視線がルナに注目する。訪れる沈黙。ルナは突然自分に向けられるたくさんの視線にびっくりして私の足元に隠れる。そりゃ広間に猫なんて連れてくる人なんかいないよね…。沈黙に耐えきれず口を開いた。
るる「一緒に入っても大丈夫ですか?」
信長「構わん。」
良かった…!
信長「貴様はここだ。」
信長様が自身が座っている目の前を顎で指し示した。
私は信長様の前に、ルナは私の横にちょこんと座る。武将たちに囲まれるように座った。
信長「貴様をここに住まわせる。俺に幸いを運ぶがよい。」
るる「…はい?」
唐突すぎない?!
るる「えっと…どういう意味ですか?」
信長「貴様は褒美目当てではなく無償で俺を救った。気に入った。」
なんかよくわからないけど…。断ったら何されるかわからないし、行く宛もないし…。元の時代に帰るまでここにいた方がいいのかな?っていうかそもそも帰れるの?周りの視線が痛い…。
るる「…わかりました。具体的に何をすればいいんですか?」
信長「何も。」
るる「…え?」
信長「俺のそばにいろ。貴様はそれだけでいい。貴様をそばに置くのは天下統一を成し遂げる験担ぎだ。」
るる「…私はお守り代わりってことですか?」
信長「案ずるな。表向きはどこぞの姫として扱ってやる。花札でも猫と遊ぶでも好きなことをしていろ。」
働かずに遊んでいろってこと?!
るる「…それは困ります!こんなときに遊んでいろなんて…!」
信長「は…?」
政宗「るるの気持ちはわかる。俺もそういうタチだしな。」
信長「良いだろう。貴様に織田軍の世話役の務めを与えてやる。」
織田軍の世話役か…。私に出来るかな?