第7章 不可能
「誰?」
「え、言わないよ。」
「は?誰かって聞いてんだよ。」
「言わないってば。」
「チッ…。」
「…」(舌打ちしたうえにしつこい…。)
まぁ…言えないよね……目の前にいる人だし……その本人は面倒で恋人は作らないタイプみたいだし……。
「あっ!コウちゃんに菜月ちゃん~!」
「お久しぶりです。しばらくお会いしてなかったですよね?」
前からイチさんとシュウさんが歩いてきた。
「お久しぶりです。」
「ねぇねぇ!コウちゃんから聞いたよ!?俺と同じでちゃん付けでコウちゃんのこと呼んでるんだって~!?」
「!…あ…え…。」
私は彼の方を向いた。そっぽを向く彼…。
「…」(話したんだ……可愛い…。)
「あ、そうだ。コウちゃん、午後からもお客さん入れていい?背中に入れてほしいんだって。」
「…何入れるかによる。」
「ん~とね…鯉!だった気がする。」
「無理、面倒。」
「え~!?」
*
家に着くと、玄関の前に誰かが立っていた。
「誰か…いますね…?」
「ん~?あ!依頼してきた子!コウちゃんの家知ってたんだ…。」
「…」
立っているのは男性ではなく女性だった。