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彼が異常ですが怖いので何も言いません。

第5章 貴方に優しく他人に冷たく…


彼が出かけてから10分ほど経った頃だった。インターホンが鳴り、拳でドアを叩く音が聞こえた。


「ねぇ!いるんでしょ!?開けてよ!!」

「!…」



女性の声だった。足音を立てずにそっとドアスコープから覗いた。



「…」(誰…なんだろう…。)



鍵がかかっていたため開けることはできないけどドアを叩く音がうるさい。



「ねぇ!開けて!!」

「っ…。」(うるさい…。)



私はドアから離れ、リビングに戻ろうとした。



「ねぇ、誰かいるんでしょ?紘太じゃなくてもいいから開けてよ。」



今度はドアノブをガチャガチャ回してきた。



「!…」

「ねぇ!誰?女?誰でもいいけど開けて!紘太と話をさせてよ!」

「…っ……な…何のご用ですか…?」



きっと周りに人はいないけれど、大声を聞いた商店街の人達が集まってきそうで怖かったため、聞いてしまった。



「やっぱりいるじゃない……紘太は?どこにいるの?」

「っ…ぁ…ぃ…今…出かけてます…。」

「嘘ね。ねぇここ開けて。」

「で…出来ないです…。」

「はぁ!?なんなのアンタ。いいから開けなさいよ!」



もう1度ドアを叩いた。
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