第3章 彼について
どれも可愛らしい服ばかりだった。
「もうここから出る必要なんてなくなっただろ?」
「!…」
彼は私の顔を両手で包み、キスをした。ニヤリと笑みを浮かべ私を抱き上げた。
「で…も……会社…行かないと…。」
「…」
彼は私を抱きしめ、首にキスをした。
「んっ…!」
「行かなくていい。もう…どこへも行かせねぇよ…。」
「…」
彼は他人を平気で殺すのに…どうして私にだけ…こんなに優しいのかがわからない……。
「…あ…の…」
聞こうとした瞬間、インターホンが鳴った。
「!…」
「ん…っ…。」
それでも彼はおかまいなしに腕や頬、色んな箇所にキスを落とした。インターホンが鳴り止まない。
「こ…た……さっ……インターホンが…。」
「……ん。」
彼はようやく私を降ろしてくれた。玄関に向かう彼の後姿はどこかイライラしているようにも見えた。