第3章 彼について
「…!もしもし?」
「もしもし!?あぁぁ…びっくりした…あれから連絡取れないから…もしかしたらと思って……良かったあ…。」
「良かった…じゃない!怖かったんだから!!」
「ご…ごめん……あ、璃乃のやつは…?どうなった?」
「え…あ……う、うん、届けたよ…!」(届けたことには間違いはない…。)
「そっか…良かった……てっきり殺されてるかと…。」
「はは…何それ…。」(間違いではない…。)
リョウと連絡を取り、近くのカフェで話すことにした。
「いやマジで助かったわ!ありがとな!」
「う、うん…。」(もう逃げられないですけどね…。)
「そ、その…どうだった…?東雲さん……。」
「…東雲さん…?」
「えっ…会ったんじゃないのか…?黒髪の…刺青入った人…。」
「あ……会った…東雲…紘太さん…?」
「そうそう!!こ、怖かっただろ…?」
「…怖かった…。」
リョウは彼のことをよく知っているらしい。
「人殺し、刺青、煙草、薬物…その他もろもろ…あの人には裏の世界じゃ"近づいてはいけない人間"として知られてんの…。」
「…」(なんでそんな人に近づけさせたんだよぉ……。)
「でもあんなに怖ぇのに女の人は皆あの人に依存していくんだぜ……?怖ぇ……。」
「……でも、どうして警察とかに捕まらないの…?」
「そんなの知るかよ…誰も告げ口する奴がいねぇからじゃねぇの…?」