第2章 異常な愛
「あ、そうだコウちゃん。墨入れてほしいって言ってる奴がいるんだけど…1万で。」
「…ふーっ…バカか。」
「だよね~?その子16らしいんだけど、コウちゃんと知り合いになりたいってうるさくてさ。」
「…」
「…わかってるよ、あんまりにも"しつこかったら"ね。」
「…ん。」
どうやら2人はアイコンタクトでだいたいのことはわかるらしい。
「それじゃ、俺はこれから女の子と遊んでくるから。また何かあったら連絡ちょうだい?」
「…ん。」
「うん、じゃあね~。お邪魔しました~。」
嵐のように去っていった。イチさん…という人らしい。
「…」(何を…頼んでたんだろう…。)
「…ビビった?」
「!…え……あ…いえ…元気な人だなぁって…。」
「…ん。」
彼は立ったまま私の頭を撫でた。
「…」(初めて…質問された…。)
ちょっと嬉しい……。
*
「あ…の…。」
「…」
「出かけてきても…いいですか…?」
「…誰とどこに?」
「と…友達に…えっと……カフェとかで…。」
「…いーけど、15時まで。」
「…」
時計を確認すると今は14時21分だった。
「わ…わかりました…。」(約30分……。)
私は急いで家を出た。一応鍵も持った。
「…!」(どうしよう…連絡先消されちゃったんだ……あ…でも……。)
かろうじて電話番号を覚えていた。