第12章 【番外編】 東雲紘太という男
新人なのか、マニュアル通りのことをこなすらしい。
「…任意ですよね?嫌です。」
「!…」
「…」
そこで断ったのは、腹が減っていたから。疑われるようなものは持っていないし、そもそも殺したのはイチ。俺は最近人を殺してはいない。
「任意だ!でも、君が……君が……怪しいと…思ってしまったんだ…すまない…。」
「……どうぞ、勝手にしてくださいよ。でも、腹減ってるんで早くお願いします。」
「ご、ご協力感謝する!!」
荷物検査、と言ってもポケットに財布、手にコンビニのレジ袋、中にプリンとおにぎりが入っているだけで、荷物はそれだけ。