第10章 溺愛
「ん…っ…?」
「あ、起きた?」
「!…」
目が覚めるとベッドの上で横になっていた。
「逃げないように手首とか手足とか縛ろうと思ったんだけど、可哀想かなって。」
彼は椅子から腰を上げ、ゆっくり私に近づいてきた。
「っ…。」
私は急いでベッドから起き上がった。恐怖で座り込むことしか出来なかった。
「ここは山奥だから、俺とアンタの2人きりだよ?アイツは絶対にこんな山奥にアンタがいるってわからないだろうね。」
「っ…私につきまとわないでください…。」
「なんで?あんな目で俺のこと見てたくせに!俺のこと誘っておいて…思わせぶりとかふざけんなよ!」
「っ…!」
「ねぇ、俺と結婚しよ?そんで、一生俺の傍から離れんなよ?なぁ?俺アンタのこと好きなんだよ!」
そう言い彼は私の両肩を掴んで揺さぶった。
「やめて…くださいっ…。」
「…あっそ…そんなに嫌なら…もうアンタのこと殺して、嫌でも一緒にいられるようにしてやるよ。」
彼はポケットからカッターナイフを取りだした。
「っ…そんなものじゃ…殺せるわけない…。」
「殺せるだろ!心臓突き刺して、ぐちゃぐちゃに」
彼の目が見開いた時だった。
「えーだから燃やした方が早いってー。」
「ダメです、山ですよ?ここ。」
「!…」
外から聞き覚えのある声が聞こえた。