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彼が異常ですが怖いので何も言いません。

第9章 あなたの為ならば…


*


ここにきて1年が経った。変わらず、コウちゃんはお仕事をしているし、イチさんとシュウさんも遊びに来てくれる。



「…」(また…増えてる…。)



変わったのは、コウちゃんの刺青とピアスの数。



「…コウちゃん…前も鎖の刺青入れてたよね…?」

「…これ刺青じゃねぇ。タトゥー。」

「…」(いや…何が違うんだろう…。)



そういえば、コウちゃんは意外と天然だということがわかった。



「……コウちゃん。」

「…?」

「…私も…ピアスあけてみたい…。」

「…いーけど。」



コウちゃんは作業部屋に向かった。



「…」(初めて中入った…。)



部屋の中は見たことがあったけど、自分が中に入るのは初めてだった。



「座れ。」

「う、うん。」(待ってやっぱり怖いかもしれない…。)

「…」



コウちゃんは、手際よく消毒とピアスを用意して準備を整えた。


「両耳?」

「…これがいい…。」



コウちゃんの耳に付いているピアスにそっと触れた。それは耳たぶではなく、軟骨にあいていた「インダストリアル」と呼ばれる箇所だった。



「…痛ぇよ?」

「…で、でも……かっこいい…から…。」

「…わかった、お揃いな。」



口角を上げ、別のピアスを用意した。
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