第9章 あなたの為ならば…
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ここにきて1年が経った。変わらず、コウちゃんはお仕事をしているし、イチさんとシュウさんも遊びに来てくれる。
「…」(また…増えてる…。)
変わったのは、コウちゃんの刺青とピアスの数。
「…コウちゃん…前も鎖の刺青入れてたよね…?」
「…これ刺青じゃねぇ。タトゥー。」
「…」(いや…何が違うんだろう…。)
そういえば、コウちゃんは意外と天然だということがわかった。
「……コウちゃん。」
「…?」
「…私も…ピアスあけてみたい…。」
「…いーけど。」
コウちゃんは作業部屋に向かった。
「…」(初めて中入った…。)
部屋の中は見たことがあったけど、自分が中に入るのは初めてだった。
「座れ。」
「う、うん。」(待ってやっぱり怖いかもしれない…。)
「…」
コウちゃんは、手際よく消毒とピアスを用意して準備を整えた。
「両耳?」
「…これがいい…。」
コウちゃんの耳に付いているピアスにそっと触れた。それは耳たぶではなく、軟骨にあいていた「インダストリアル」と呼ばれる箇所だった。
「…痛ぇよ?」
「…で、でも……かっこいい…から…。」
「…わかった、お揃いな。」
口角を上げ、別のピアスを用意した。