第4章 日常
「あ、そろそろ昼餉の準備をしますね」
「もう、そんな時間か?」
「そうですよ」
木刀を錆兎に預け、台所へ向かうと先に来ていた冨岡が野菜の下ごしらえをしていた。
「冨岡さん、ありがとうございます。手伝いますね」
「きのこの根を切ってくれ」
「わあ、新鮮ですね」
「椎茸とナラタケを頂いたんだ。椎茸は牛酪で焼いてナラタケは味噌汁に。今大根を剃る」
「あ、お願いします」
冨岡さんは普段無口だけど、料理や洗濯といった家事が獅子嶋さんより出来る。
とは言っても、決して器用な訳では無い。
「指まで剃らないで下さいね」
「大丈夫だ……」
おろし金を使う冨岡さんがちょっぴり危なっかしい。
その姿に、クスリと笑みが零れる。