第2章 指名
「怖いかどうかで鬼を倒す訳じゃないだろ?」
ふんと錆兎が鼻を鳴らす。
「そりゃそうだけどさ…」
「鬼が人を喰らうのをやめない限り、俺たちは戦わなければならない…」
義勇の呟きに確かにと納得する。
「それが私たちの戦う意味ですからね…」
「だから、鬼を一匹でも多く倒す。が今の俺の目標だ」
錆兎の目が強い光を帯びた。
「錆兎…」
村田が意外という表情を浮かべた。
割と真っ当だったんだなと若干錆兎に関する考えを改めた。
「俺も、錆兎と志は一緒だ…」
何か、いい話になってる……
華恋もジーンと心が熱くなる。
「そのためにも、俺と共に歩んでくれないか?華恋」
再び伸ばされた錆兎の手。
「………まだ、継子になるつもりはないですが、お二人の事……もっと知りたいです。だから、お試しってことで、よろしくお願いします!」
今度は彼女がぎゅっと握り返してくれた。
こうして、三人の物語は幕を開けたのである。
ー了ー