第2章 呪われた瞳
「くる、み……ごめ…ね、大好き」
聞こえたママの声。ぐじゃりと足元に崩れ落ちるのは、さっきまで笑っていた母親の亡骸。
血が、雨のように床に飛び散っている。
『ぁ、あぁ、あぁあ……』
わけがわからない…。なんでこうなったのか…。嫌な考えが頭を過ぎる。
ーくるみの目は呪われているー
『あ、そっか……私の、私のせい……』
パパの死体の奥に見た事もない緑色の化け物がいた。
私も死ぬのかな、と思った。
頭がくらくらして痛い。悲しいのに、涙が出てこない。
意識が遠のく。
……くるみ、大好きだよ……
『!!』
体が光る。瞳が焼けるように熱くて痛い。
『領域展開……』
自分でも訳がわからない言葉が出る。でも、どこかで聞いたような…。自然と頭に流れてくる言葉を、そのまま声に出した。
『不月開眼・紅……!!』
紅く煌めく光が緑色の化け物を覆った。叫び声と共に化け物は紅葉のようになり散った。
『たお、したの……?』
意識が途切れる……。最後に感じたのは血の匂いと、熱くてじめじめした空気だった。