第111章 交わる銀色※
「……ちゃんと掴まってろ」
私の様子を見かねてか目の前のジンがそう言った。その肩に両手をかける。さらりと顎を撫でられて声にならない息が漏れた。
腰を引き寄せられる感覚にゾクッとしたものが背筋を走る。入口に擦り付けられる感覚、そして一気に入れられて身体が大きくそった。そのまま奥を抉るように突かれて、崩れそうになるのをどうにか耐える。
『や、だめ……っ』
手持ち無沙汰なのか、前にいるジンは私の胸を弄り始めた。それに反応したと同時に抽挿が激しくなった、気がする。
快感か高まっていくとまた視界が潤んでくる。その中、目の前のジンがニヤリと笑った。そして、深く唇を塞がれる。
舌先で歯列をなぞられて口内を好き勝手されて、必死にそれを受け入れていると。
一際大きく奥を抉られて目の前がチカチカと点滅した。僅かに鉄の味を感じる。
「っ、てぇな……」
強すぎる快感にキスをしていた唇を噛んでしまったようだ。切れた唇を指先で拭うジンがいるが、それに構っていられる余裕はなかった。
「今、お前を抱いてんのは俺だ」
『ご、めんなさっ……』
絞り出した謝罪は届いたのか、きっと聞こえていても意味はないだろうが。抽挿の勢いが緩む事はないのだから。
そこから一気に上り詰めて快感が一気に弾けた。
『あああっ……!』
身体がビクンと跳ねガクガクと震えた。ずるりとナカからジンのモノが抜かれる感覚がして、脱力した私の身体はベッドに崩れ落ちた。
まだ続くのか、なんてぼんやり考えようとしたのだが。
ぐらりと視界が歪んで、思考が闇に落ちたように黒く塗りつぶされていく。
再び意識が戻った私が見たのはいつもと変わらない自室だった。体を起こして首を傾げた。
『……夢?』
「何がだ」
『へっ?!』
後ろから声をかけられて振り返るとジンが変なものを見るように私を見ていた。
『あ……えっと、どうやって出られたの?』
「……何の話だ」
『えっ……いや、ごめん、忘れて』
顔洗ってくる、と逃げるようにその場を離れた。
『夢……?』
洗面所の鏡を見ながら呟いた。ゆっくり息を吐いて思考を落ち着かせた。
妙にリアリティがあったが、出入口のない部屋も2人いるジンもどう考えたっておかしい。ジンが覚えてないのも無理は無い。
欲求不満なのかもしれない。そう結論付けて冷たい水で顔を洗った。