第5章 それぞれの思い※
「嫌ならここで辞めるが……どうしたい?」
セックスの最中に女に意見を求めたことなんてない。でも、今はそうしなければ、こいつが離れていくような気がした。
頬に添えた手に亜夜の手が重ねられる。
『……辞めない』
「本当にいいんだな?」
小さく頷かれる。そっとキスをした。
「服、脱げるか?」
これ以上汚したくねえだろ?と言う。
『あっち向いてて……』
「今更何を……」
『向いてて!』
既に見た後なのに何を……仕方なく後ろを向く。これも邪魔か、と思って自分も上の服を脱いだ。
「……遅せぇ」
そう言って振り返る。亜夜は慌てて身体を隠そうとするが、それを阻んでベッドに押し倒し、上へ跨る。
―ベルモットみたいにスタイル良くないし……
少し前にそう言っていたことを思い出す。確かにベルモットのような豊満な身体つきではない。しかし、無駄がなく十分そそられる身体だ。
「……悪くねえな」
亜夜も俺の身体を見ているようだ。
「自分は嫌がるくせに、人のはよく見るんだな?」
そう言うと慌てて目を逸らされる。
首元に顔を寄せ、ゆっくり舐めた。怖がらせないように身体を撫でる手も優しく……。
「どうして欲しい……?」
耳元で問いかける。
『……優しくして』
「フッ……存分に甘やかしてやるよ」
深いキスを落とす。それから、亜夜の身体中に唇を這わせる。胸を揉む手も、太ももを撫でる手も、壊れ物に触るかのように。
声が漏れてきたところで胸を舐める。敢えて先端を避けながら。もどかしいのか、視線を向けるとちょうど目が合う。
「んだよ……優しくされてえんだろ」
恥ずかしそうな亜夜の顔。
『いじわるっ……!』
「心外だな、十分優しいだろ」
しばらくの沈黙。
『先……触って欲しい』
もう耐えきれないといった表情で言う亜夜は更に顔を赤くする。
「……次はもっと上手く強請るんだな」
胸の先端に触れる。亜夜の声は聞こえないフリ。
「……下、触るぞ」
割れ目を指でなぞると、クチュッと音を立てる。十分過ぎるほど濡れている。何度か往復して敏感な部分へ触れた。
漏れる声と跳ねる身体。胸の先端も同時に責める。
限界がちかいのか、ぎゅっと腕を掴まれる。
「……イケよ」