第54章 全部私が※
そこから抽挿は止まってくれなくて、遠のきかけていた絶頂はまたすぐにやってくる。
『あ、やだ……またイく……っ!!』
ジンの首に腕を回し、顔を肩に預ける。下から突き上げられる快感に、必死にしがみつきながら喘ぐことしかできない。
「……全部やるなんてよく言えたな」
耳元でジンが鼻で笑った声が聞こえて、背筋がゾクゾクする。同時に一際強く突かれて呆気なく達した。そこで抽挿は一度止まる。体位のせいでずっと奥に当たったままではあるけど。
荒い呼吸を繰り返していると、視界がぐるりと回る。目に入ってくるのはジンの顔越しの天井。
「ハナから期待はしてなかったが……そもそも上に乗られるのは性にあわねえ」
『えっ、あ、やだ……腕……』
「んなこと考えてる余裕があんならまだイけるだろ」
両脚を抱えられて、また一気に奥を突かれる。ジンの腕の包帯が見えると、無理に押し退ける気にもならなくて、両手はシーツを強く握りしめる。
「……簡単に落ちるなよ」
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ぐったりとベッドに転がる。意識が飛ばなかったのはよかったけど、身体は動かない。何もなかったかのように水を飲むジン。そういえば……聞けてないことがあるな。
『ねえ……シェリーには会った?彼女はどうなったの?』
スっと部屋の空気が変わった。ジンの冷たい雰囲気に肌を刺されるような感じがする。
「……この町にはもういねえだろうな」
『え?』
「抱き込んだヤツとよろしくやってんだろ……しばらくあの女のことは忘れろ」
聞くべきではなかったのかもしれないけど気になるし。ていうか抱き込んだって……。ジンはそれ以上何も言わなかった。
ジンが何もいわないということは、シェリーが幼児化している可能性はない……?ジンのことだ、仮にそうなっていたら、実験材料として殺さずに連れてきそうだしな。工藤新一のことも裏が取れたわけじゃないし、また最初からかぁ……。
どちらにしても彼女が無事に生きていてくれるならそれでいい。既にこの町を出ているなら戻ってこないでほしい……なんてことを考えているのがバレたらどうなるんだろう……私は無事じゃいられないだろうな。
だるい身体をなんとか起こして水を飲む。シャワーは明日の朝にしよう。
スマホを操作していたジンが舌打ちをする。何かと思って視線を向けた。
「……てめぇにパーティのお誘いだとよ」