第50章 我儘※
「……わからねえならこのままだな」
『う、ああっ!』
「っ……」
自分がイくと同時にナカに直接欲が放たれた。
『わかんないの……そんなに言う、なら教えてよ……』
快感と行き場のない虚しさが膨らんでいって涙が滲む。荒く息をしながらジンを睨むと、冷たい目と視線が絡む。怯みそうになるけど、歯を食いしばって耐えた。もっとも、今の状態では目の鋭さなんて皆無だろうけど。
「……てめえは誰のものだ」
『……ジン』
「なら、あの野郎に気を許す理由はなんだ」
『……バーボンは、助けてくれるから……ほかのみんなと何か違うし』
「キスを許すのもそれが理由か」
『き、今日のは急で、避けれなくて……』
「避けなかった、の間違いだろ」
『っ……』
自分がしてしまったことだ。悪いのは私。もしかしたらこの関係も終わってしまうんじゃないか……そう考えるだけで、先程とは持つ意味が違う涙が零れる。
「どれだけ酷くしたってお前にはご褒美だもんな」
『……』
「それなら……何もしねえのが罰か」
ジンのモノが抜かれる。愛液とは違う感触がお尻の方へ垂れた。
ジンは口の端だけを釣り上げて笑った。
「しばらくは何もしねえ。キスもセックスも」
『……ジンが我慢できるわけないじゃん』
「かもな」
『じ、じゃあ……』
「だからしばらくここには来ねえ」
『えっ……』
本気……なんだ。というか、今までが優しすぎたんだ。自惚れだと思われても仕方ないけど、私だから殺されなかっただけ。
『……いつ、戻ってくるの』
「そこら辺の女適当に引っかけて飽きたら、だな」
その言葉が胸に深く突き刺さった。苦しくて痛くて堪らない。
「戻ってくるかもわからねえが……次、あの野郎と何かしたら、その時はもう終わりだな」
『……わかった』
返事を聞いて、ジンはバスルームへ入っていった。
ベッドに四肢を投げ出したまま考える。必要以上にバーボンに関わらなければいい。送ってくれると言われても断ればいい。常に気を張って、何をされるのも拒めばいい。
バーボンのことは嫌いじゃない。でも、ジンと離れるくらいなら切り捨てたって構わない。
ジンは5分程で出てきて、コートと帽子を身につけた。
『……今から行くの?』
「俺の勝手だろ」
ジンはこちらを見ることなく出ていった。