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桜ひとひら(刀剣短編集)

第1章 鏡 大倶利伽羅




仕度を終え、洗面所に向かうと青江と石切丸、大倶利伽羅がいた。



青江と石切丸が言うには洗面所自体には怪しいところは無く、この場所自体が何かに憑かれているわけではないらしい。

「ここからも主からも悪い気が漂っているわけではない。とすると考えられるのは…」

「主の心に反応したんじゃないかな。恐怖心なんかは物に対して伝わりやすいからね。」


暗闇が怖い私の心が鏡に宿ってそこからあの化け物が具現化されてしまった、ということらしい。

「しかしまあ、大倶利伽羅も派手にやったよね。…明かりのことだよ。」



見上げると、洗面所の明かりが壊れてしまっていた。
私を助け出すときに大倶利伽羅が破壊したようだ。


「そういえば、大倶利伽羅はなんであの場にいたの?」


昨日はそれどころではなかったけれども、ずっと気になっていたことだった。


「厨に水を飲みに行った帰りに洗面所の近くを通ったらあんたがいたんだが、様子がおかしかった。鏡を見たらあんたが何かに捕まっていたから鏡越しに見えている腕を切るついでに明かりも壊したんだ…」


明かりを壊してしまったからか、少しばつの悪そうな表情で説明してくれた。
厨から洗面所は結構距離があるから、遠くから気付いて駆けつけてくれたようだ。

そして私が見た化け物は実際には見えておらず、鏡の中だけで見えていたものだったという。
大倶利伽羅は霊を切る刀ではなかったはずなのに、断ち切ってしまうあたり、さすが付喪神だ…。


「結果としてはよかったんじゃないかな。主は鏡に囚われてしまっていたから、暗闇にして見えなくすることでそこから解放できたわけだし。」

「夜中に出歩くときは俺を連れて行け。またあんなことがあったらかなわない。」

「え!あ…ありがとう。」

俺を連れて行けだなんて、極める前はきっと言ってくれなかっただろうなーとなんだか感慨深い気持ちになった。

「おや、欲張りさんだねえ。霊を切ることなら僕の方が得意なんだけどな。」



その後もしばらく大倶利伽羅と青江が言い合っていたが、結局夜中に出歩くときは近侍が同伴するということになった。





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