第1章 鏡 大倶利伽羅
…すっかり遅くなってしまった
夜遅くまで仕事をし、寝る準備をする頃には日付が変わる時間となっていた。
この時間には既に就寝している男士が多く本丸内は静まり返っている。
皆を起こさないよう静かに廊下を渡り洗面台に向かっていた。
薄暗い廊下。
明かりの少ない廊下を早足で歩く。
ぺたぺたと自分の足音だけが夜の闇に吸われていく。
昔から暗いところが苦手でちょっとしたところに行くにも電気をつけなければ気が済まない性質だった。
今でも苦手ではあるものの廊下を明るくすれば今眠っている男士達は目を覚ましてしまう。
自分のせいで皆の眠りを妨げてしまうのは申し訳ない、ということで薄暗い中をおっかなびっくり歩いているのだった。
夜遅くに本丸内を歩くのは珍しくないものの、やっぱり暗闇は慣れないな…などと思いながらも洗面台のある部屋に着いた。
…歯を磨き始めて少ししたとき、鏡の向こうで何かが動いた気がした。
こんな時間に誰か起きているだろうか?
この時間に起きている刀剣男士といえば、だいたい酒盛りをしている次郎太刀や日本号あたりだろう。
しかしそれだったらもっと喋り声や笑い声が聞こえてもおかしくない。