第1章 妄想1日目
イケメンが道を作ってくれたおかげで何とか外に出ることが出来た。
「あ、ありがとうございます」
手を握られているのが恥ずかしくて俯きながら言うと
「すみませんっ、つい手を」
パッと手を離し恥ずかしそうに頭を搔く姿が様になりすぎて目が離せない
「せっかくなので改札までいかがですか?」
そんな言葉にハッと意識を取り戻す。
「いいのでしょうか??」
「是非」
あぁ、イケメンは何しても許されるな。なんて思いながら横を歩いていく。
「電車の中で面接の練習されてましたよね??」
一瞬なんのことか分からなかったがカンニング資料のことを思い出す。
「あれ?!声に出てました?」
恥ずかしさと混乱で慌てる私に
「違うんです、内容が少し見えたので!」
とカバンを指さすイケメン
ほっと胸をなでおろしながら内容を見られたことに恥ずかしさが込み上げてくる
「昔から緊張しやすくて、話す内容とか決めておかないとダメなんですよ」
言いながらさらに恥ずかしくなる。
(初めてあった人に何言ってるんだろ)
「努力家なんですね」
そう言って優しく微笑むイケメンにドキッと胸がなる
「そんな風に言って貰えたの初めてです、ありがとうございます」
嬉しくなってニヤける口元を隠してお礼を言う
(サラッと人を褒められるの、羨ましいなぁ)
「今日の面接が上手くいくおまじない」
手を引かれ、ふと見上げると手の甲にキスが
何が起こっているのかわからず立ち止まっていると
「頑張ってね」
そう言って立ち去るイケメン
「え……えぇーー!!!!」
しばらくして状況を飲み込めた私は駅のど真ん中で叫んでいた。