第1章 妄想1日目
10月某日
今日はやっと通った最終面接。
もう希望する会社とか関係ないけど、とにかく就職しないとまずい!!
髪よし、メイクよし、カンニング資料よし!
10時からの面接に向けて準備を進めながら襲われる吐き気に耐える。
今までの面接も内容は悪く無いのだが、緊張から来る吐き気に耐えられず
途中退出が多すぎて採用されることがなかったのだ。
(酔い止めも飲んだし、今日はきっと大丈夫!)
念じながら電車に乗り込む
(やっぱりこっち方面は混むなぁ)
都心方面の電車は乗り込む人が多く1駅着く度に奥へと押し込まれていく。
(だいぶ、狭くなってきた…)
気がつくと隙間がなくなりカンニング資料が読めなくなってきた。
ガタン!
一際大きくゆれ、バランスが崩れ前の人が倒れかかってくる
(ヤバっ、支えれないよっ)
ダンッ
目を瞑って衝撃を待っていると横から大きな音が聞こえ、うっすらと目を開ける
目の前には少しはだけたスーツの胸元が…
(セクシー…、じゃない!)
そのまま視線を上にずらすと、どストライクなイケメンが私に壁ドンしているではありませんか
「すみません、後ろから押されてるみたいで…次の駅までこのまま我慢して貰えませんか?」
申し訳なさそうに眉を下げるイケメンに鼻血が出そうになるのを我慢して
「だ、大丈夫です、ありがとうございます…」
(終電までお願いしたイィ!!!)
一瞬ニコッと笑ったイケメンにさらにクラクラしてしまう
あっという間に次の駅に着いたのだが、そこでもまだ乗り込む人がいたらしく
さっきよりもさらに距離が近くなる
(ヤバいヤバい!胸板が目の前にっ!!)
「大丈夫ですか?苦しくないですか??」
「大丈夫です、、」
(いやこの状況が大丈夫じゃないっ!鼻血出るっ!!)
どこまでも紳士な対応に我慢の限界が…
「就活、ですか?」
突然イケメンに声をかけられ慌てる
「は、はいっ!今日が、最終面接で…」
「やっぱり。頑張ってください」
ニコッと爽やかな笑顔が向けられる
赤くなる頬を隠しながらお礼を伝えると目的の駅に着いたようで
「あっ、ここで、降ります」
「僕もですよ、行きましょうか」
そう言って手を掴んで出口まで引っ張ってくれる
握られた手に熱がこもるのを感じながらイケメンの背中を見つめた