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紅玉の瞳

第1章 満月


不死川が指令を受け向かった先には既に鬼の気配はなかった


雲に隠れた月が顔を出せば不死川の顔を照らす

木々の影が足元に映る

「あぁ?」

ふと高い木の先に目をやると人か鬼か
何者かの姿が月明かりに照らされた

「そこにいるのは誰だぁ」

そう叫べば人影は此方を向く

その瞳は紅く光る

「!?」

飛び降りてきた影は不死川の前にすとんと立った

「こんばんわ」
「あん?」

にこりと微笑む少女は隊服を身に纏っているところをみると鬼殺隊だとわかる

「おまえが鬼を殺したのかぁ」
「一足先に出会したので斬っておきました」

その顔から覗く紅い瞳に不死川は息を呑んだ

「おまえ、名は」
「鐘崎ほのかです。お初にお目にかかります風柱さま」
「俺のこと、知ってんのか」
「勿論です」


隊服の上には雪の結晶が施された羽織を肩から掛けほのかは笑った

「私は以前の炎柱さまに助けられ、今は煉獄家に住まわせてもらっています」
「煉獄のところに...」
「ですので、柱の方々のお話はよくお聞きしておりますよ」


それでは、と不死川の横を過ぎ去る時ほのかは不死川に腕を掴まれる

「なんですか?」
「あ、いや...」

ぱっと手を離し不死川は目線を逸らした

「なにか用でもありましたか?」
「今夜は、満月だな」

突拍子もない会話を始めた不死川に目を丸くさせたが、また笑顔になる


「ええ、綺麗な月だったので見惚れてました」
「それであんな所にいたのかよ」
「そうです」

ほのかは月をもっと近くで見るために1番高い木の上で月見をしていた

「随分身軽なんだな」
「生憎体格に恵まれなかったもので、」

眉を下げ皮肉を言った

「お話がなければ、これで失礼します」

頭を下げてほのかは去って行く

見えなくなるまで不死川は彼女を見続けた
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