第2章 傷負う君も愛す
二人は城下町にやってきた
暗くも賑わう人だかりを進む
こんな大勢の中で鬼が出没したら被害が拡大すると心配になる
今回隊士が消えたとの情報は城の周りの林からだった
城の方へと進むと人気も少なく門番だけがそこにいた
城を避けて林へと入っていく
不気味な雰囲気の林に足取りも重くなる
「杏寿郎、この足跡」
地面には歪な鬼のものであろう足跡が残されていた
その跡を辿っていくと木こりの小屋が見えてきた
「あの古屋、人の気配がないわ」
ほのかは人の気配を感じない小屋を不振に思うと杏寿郎も刀に手を伸ばす
「あそこにいるのだろう」
その言葉にほのかも緊張する
今回は数名の隊士が姿を消していると聞いた
柱である杏寿郎がいるものの油断はできない
小屋に近付くと強い血の臭いがする
確実にここに鬼がいる
二人は小屋の扉を挟み身を潜める
バリボリと骨が砕ける音が聞こえてくる
その音に不快感を覚えた
刀を握る手が強くなる
ほのかの殺気が鬼に伝わってしまったのか音がしなくなった
「誰かいるのかぁ?」
中から不気味な声がした
杏寿郎はその声に応える
「鬼殺隊だ!出てこい鬼!」
少し間が空き扉が蹴り破られた
大柄の鬼が口の周りに血を付けて姿を表した
二人は直ぐに刃を鬼に向けるが刀を握られ双方に吹き飛ばされた
飛ばされながら姿勢を整え木を蹴って鬼に斬りかかるほのか
鬼の腕に刃を押し付けるが硬くて斬れない
再度鬼に蹴り飛ばされてしまう
ー炎の呼吸 壱ノ型 不知火(しらぬい)ー
遠方から地を蹴り杏寿郎が呼吸を使い鬼に斬りかかる
鬼の左腕が落ちた
惜しくも腕で防がれ首を斬ることはできなかった
飛ばされたほのかは二人の姿が見えない所まで来ていた
走って元いた場所まで戻る
すぅぅぅっと肺に呼吸を送る
ー雪の呼吸 参ノ型 雪爪(せっそう)ー
見えた鬼に素早く斬りつけると右腕も落とした
が、ほのかが肩を鬼に噛みつかれる
「あ"ぁっ!!」
「ほのか!!」
鬼の首が伸びたのだ
予想外の動きに反応ができなかった
肩から流れる血が地面にポタポタと落ちる