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紅玉の瞳

第1章 満月


「お待たせしました!」

ほのかは急いで二人がいる縁側まで走ってやってきた

いつもの隊服とは違い着物を着付けてきた

「えらくめかしこんできたなぁ」
「そうですか?」

ほのかの姿に不死川が言う

「ほのか!似合ってるぞ!」
「杏寿郎ありがとぉ」
「コケるなよ!」
「ふふ、大丈夫よ」

杏寿郎は笑顔を向けた

「用意できたなら行くぞぉ」
「はい!杏寿郎行ってくるわね!」
「気をつけてな!」

杏寿郎は街に出かける二人を不安げに見送った

自分以外の男と楽しそうに出かける姿に胸が痛む

やはり早くこの気持ちを伝えなければいけないのかと、思う



一方不死川たちは街へとやって来た

「陶器屋さんに気にいるものがあるといいんだけど」

心配するほのか

「そんな高価なもんいらねぇからな」
「折角なら気に入ったものがいいじゃないですか」

張り切るほのかに不死川は渋々ついていく

陶器屋に入り沢山の食器に目を通す

「これなんかは?」
「いいんじゃねぇの?」
「これは?」
「あぁ」
「じゃぁ、これは?」
「好きなの選べよ」

色んな皿を手にほのかが一つ一つ不死川の反応を見る
しかし不死川はどれでもいいと全て適当な返しをする

「もぉ!もう少しちゃんと見てくださいよ!」
「なんでもいいって言ってるだろ」

ぷんすか頬を膨らませるほのか
不死川はそんな時間さえも心は穏やかだった

ふと一つの皿に目を引かれる
それを手に取ろうとする不死川
と、同時にほのかの手もその皿に伸ばされる

二人の手が重なる

「これがいいんですか?」
「ん、まぁ気にはなったなぁ」

ぱぁっと明るくなるほのかの顔

「じゃこれにしましょぉ!」

値段を見ると少し高価なものだった

「おい!もう少し安いのでいい!」
「大丈夫ですよ」

笑顔で皿を店員に渡す

「これくださいな」
「あいよ」

皿を丁寧に包む店員を嬉しそうに見つめるほのか

不死川は懐から財布を出そうとするがそれをほのかが止める

「だめですよ!」
「いや高けぇだろ」
「気にしないでください!これはお詫びとお礼なんです!」

ほのかは不死川が銭を出そうとする前に会計をしてしまう
綺麗に包まれた皿を不死川に渡した

「はい!受け取ってください」
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