第29章 恋のはなし
【幻想叶side】
心操から話をされて、私はずっと考えていた。
“二人でヒーローになる”その選択肢が正しいのかを。
何度考えても心操の提案は理にかなっている。
だけど、自分のハンデを人に任せるということに私は踏み切れないでいた。
心操は私よりも強い…、今は差があってもきっと強くなる。
そんな私が心操に自分のハンデを背負わせていいの?
こんな私が心操のハンデを背負いきれるの?
そう考えると答えは出ないままだった。
「かーなーうちゃん!」
そう肩を叩かれ後ろを見ると梅雨ちゃんとお茶子ちゃんがいた。
「明日楽しみだねー!」
「時間は13時くらいでいいかしら」
二人は楽しそうに私に聞いた。
「うんいつでも大丈夫だよ」
私たちは明日買い物に出かける約束をしていた。
買い物なんて久しぶり…
しかも友達となんて…
私は密かに心を躍らせていた。
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そして約束の日
お茶子ちゃん梅雨ちゃんと3人で買い物をするのはとても楽しかったけど、夕方になると疲れがたまっていた。
休日の街は人で溢れていて、二人から離れないようにするのに一生懸命だった。
「いやー流石に人多いねー」
カフェでひと休みしているとお茶子ちゃんがそう呟いた。
「たしかに人が多いわ、びっくりしちゃった」
「だよねえー今日なんか初めてナンパされたし…焦ったわあ」
「ふふっ、そうよね」
私は二人の会話をぼんやりと聞いていた。
「ご注文はお決まりでしょうか」
そう言われ店員さんを見ると一瞬ドキッとしてしまう。