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嘘つきのヒーロー

第28章 4年越しの


なんだあいつら、そう思ったが何も言わずにそいつらから少し離れたカウンター席に座った。



カウンター席からは外を行きかう人がよく見えた。
すると、すぐ目の前を黒髪の若い女子が歩いて行った。

それを見てふと幻想のことを考える。


「考えさせて」って、どれくらいの時間がいるものなんだろう。
あいつは考え終わったら、話しかけてくれるんだろうか。

いや、しないだろうな。
そう思うと自然とため息が出た。



最近幻想の事ばっかり考えてるな、

これじゃまるで…


俺が幻想に恋してるみたいじゃないか。



そんなことを考えていると、後ろから声が聞こえる。


「ああもうほんとに生きずらくなったよなあ」

「ヒーローがそんなに偉いのかよってなあ?」


聞こうとしなくても聞こえてくるその会話はとても不快なものだった。


「あーそう言えば今日ってあの事件から4年らしい」

「え!そんなたったのかよ、時間ってはえーなー」

「ほんと、あの頃はまだよかったよな」


そんな会話の次の瞬間、耳を疑った。


「あのテロ、ほんと気持ちよかったよなあ、何人も死んじまったけどよぉ…まあ俺らがやったんだけどお…はははッ」

「そうだよなあ、あの事件で一人捕まっちまったけど、あいつが漏らさなかったおかげでお咎めなしだしなあ!!」



あの事件…俺たちがやったって…?


俺はあまりの衝撃に息をするのも忘れていた。





幻想があんなに苦しんでいることを、こいつらは楽しんでやったのか?
幻想だけじゃない、きっと色んな人が苦しんでいるのに。


気づくと俺の手は怒りで震えていた。





「おい、もう出ようぜ」

誰かがそう言って背後から立ち上がる音が聞こえる。

俺はそれを聞いて、どうするべきか考えていた。



だめだ、何する気なんだ俺。
こんなの合理性の欠片もない。

警察かヒーローに連絡、それが妥当だろ。



頭では理解しても、身体は勝手に動いてしまう










「おい…待てよお前ら」

気づいたときには口が勝手にそう言っていた。
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