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嘘つきのヒーロー

第28章 4年越しの


【心操人使side】

幻想と話をしてから、何事もなく日常は進んでいった。
「考えさせてほしい」そう言われてから結局何も言われないままだ。


だけどあいつは授業に出ている。
まだヒーロー科にいる。

それを見ると、あいつのヒーローになる気持ちは消えていないんだろうと安心できた。





しかし、それとは別に俺は幻想にある悩みを抱えるようになっていた。


クラスの女子たちとよく話すようになった幻想に自然と目がいくし、
上鳴と話しているのをみるとなぜかむかむかする。

あいつが笑っていると何の話なのか気になるし、
相澤先生と話しているだけで良くない想像をしてしまうようになった。





「あー…なんなんだよ」

俺は経験したことのないその感情を上手く消化できずにいた。


ベッドに横になり目をつむるとふと思い出す。



幻想の透き通るような青い目を

優しく穏やかなあの声を

あの時握った小さな手を


思い出すと、会いたくなってしまう。
俺はそんな気持ちに蓋をすることに必死になっていた。

____________

日曜日
俺は特訓に必要なものを買うために外出をしていた。

休日の街は人で溢れていて、どこも歩きにくかった。
歩いているとふとビルのスクリーンに目がいく。


大きなビルに設置されたスクリーンには、エンタメ情報やニュースが流されている。



『 あのテロから4年 』



そう大きくテロップが出されたニュースは、幻想の両親が亡くなったショッピングセンターでのテロだった。

それをじっと見ていると黙とうする人々や、現地に備えられた花束が映し出され、被害者が決して少なくはなかったことを理解した。


幻想もこれに巻き込まれたんだ…
そう思うと顔も知らない犯人に怒りを覚えた。



しばらく立ち止まってはっとした。

「…買い物しに来たんだった」

そう思い俺は目的地へと急いだ。










無事買い物を終えて辺りが暗くなり始めた頃、
お腹が減っていることに気付いた。


何か口に入れようと店を探し、手軽そうなファストフード店があることに気付いた。
店に入って適当に注文をして席を探す



すると騒がしくしている3人組が目に入った。
大声で話し、辺りにもゴミが散らばっている。
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