第27章 目がくらむ
「誰にだってハンデはある…幻想はそう言ってた。ならそのハンデを誰かで補えばいいんじゃないか? …目を隠されたら使えないっていうハンデは、お前がどう頑張ってもなくならないんだから」
「なに言って…」
「幻想の個性が効かない相手なら俺が相手の口を塞ぐよ、俺の個性が効かないならお前が相手の目を塞げばいいと思ったんだ」
あまりに突飛な事を言われ、啞然としてしまう
二人で戦えばいいってこと?
自分のハンデを誰かで補うなんて…考えたことない
「俺と幻想なら、相手の目と口を塞げる。それって強いと思わないか」
それを想像して鳥肌が立った
敵(ヴィラン)戦闘において、目と口を使わせないというのはきっと大きい
しかし、私はあることを思い出していた
「…でも私、全然良い人間じゃない」
そう言うと心操は首を傾げた
「私4年前のショッピングセンターでのテロで両親を亡くしてるんだけど…その時たまたま助けた女の子がいたの」
心操は私の話を黙って聞いている
「助けたくて助けたはずなのに、未だに考えるの。……女の子じゃなくて、両親の手を引いてたら…」
あの日を思い出すと自然と身体が強張っていく
「…両親の手を引いてたら、二人は生きてたんだろうなって」
自分の汚い部分を始めて人に話して、私は心操の顔が見れなかった
私が何も言わずにいると心操が口を開く
「お前の親は、お前を責めたりする人なのか?」
そう言われ思わず顔を見てしまう
心操は心底不思議そうに私にそう聞いていた
「きっとそんな人じゃないんだろ」
それを聞いて二人の事を思い出す
私のことを大切にしてくれていた
きっと二人は私を責めたりなんかしない
動揺している私に心操は優しく
「助けたかったって気持ちは間違ってないし、幻想がヒーロー目指して人を助けようとしてるの、喜んでるんじゃないのか」
そう私に言った
心操の言葉を聞いて、今まで抱えていたものが覆されていくような気がした
だけど、分からない。私の考えていたことと違いすぎる
何が正しいのか…今は分からない…
黙っている私に心操は真剣な口調で言う
「俺と一緒にヒーローになろう、幻想」
心操は逸らしたくなるほど真っ直ぐに私を見つめていた
だけど私はその言葉に、すぐに返事をすることができなかった