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嘘つきのヒーロー

第27章 目がくらむ


【幻想叶side】

相澤先生に「心操の話を聞いてくれ」と頼まれた私は、心操と日当たりのいい中庭に来ていた。


「はい」

「…ありがとう」

差し出されたジュースを受け取り、口をつけるが緊張で味がしなかった。
しばらく黙り込んでいると心操が口を開く。


「俺…ずっと考えてたんだけど、幻想はヒーローに向いてると思うよ」

思いがけない言葉に私は心操の顔を見つめてしまった。

「あ、いや…俺伝えるの下手だから、偉そうに聞こえるかもしれないけど」

そう言って心操は頭を掻いた。



「…そんなことはじめて言われた」

私自身も向いてるなんて思ったことなかった。


「ほら、お前優しいしさ、頭の回転はやいし努力家だし…それに…」

そう言って心操は何かを思い出したように笑った。


「幻想がいなくなった時、みんな必死で探してたんだよ、爆轟も…」

そう言われ皆が探しに来てくれたことを思い出した。


「俺それ見たとき、幻想ってすごいやつなんだなって思ったよ。…それっていつもお前が真っ直ぐで、人に正直だからなんだよな」


それを聞いて私は何も言えなくなってしまう。



人に恵まれてる…みんなとても優しくていい人ばかり。
だけど、それはヒーローになる上であまり役に立たない。



「…ありがとう、だけどやっぱり私の個性じゃヒーローになれないと思う」

私がそう言うと心操はとても真剣な顔をした。



「そのことなんだけど……仮に今回の事件で俺が誘拐されて、口を塞がれてたら逃げられたと思う?」

「…え?」

何を言っているのか分からずに心操を見つめる。


「俺は逃げられないと思う」

「…そう、かな」

いまいち納得していない私を見て心操は続けた。



「ずっと考えてたんだよ、ヒーローって一人で何もかもしなきゃいけないのかって。…だけど俺は違うと思うんだよ」


そう言って心操は私の顔を見た
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