第25章 溶けていく
「相澤先生…」
そう言うと相澤先生は私に気付き、近づいてくる。
その顔はとても怒っていた。
「……お前、俺がなんで怒ってるか分るよな」
その声はとても低く、今までで一番怒ってるんだと理解した。
「ご…ごめんなさい…、私が先生に相談しなかったからですよね」
そう言うと先生は不機嫌そうに「そうだ」と言った。
私がそれ以上何も言えないでいると先生は突然私の顔を両手で包んだ。
突然のことに驚いて目を見開いているとそれを見て先生は
「…目は無事なんだな」
と呟いた。
私はそれを聞いて何も言えなかった。
目が無事だって、こんな個性役に立たない。
自分の身も守れない人間が、ヒーローになっていいのか分からない。
私は相澤先生から目をそらしてしまった。
それを見て相澤先生は不思議そうな顔をしながらも話しを続けた。
「取り敢えず車に乗れ、寮まで送っていく」
そう言われ私が後部座席に座ると、相澤先生は私に言った。
「心操の怪我も、時間はかかるが完治はするそうだ。無駄に責任感じるなよ」
「…え、…はい」
気になっていたことを先に教えられ戸惑っていると先生は言う。
「後で絶対聞いてくるだろ」
そう言われ私は何も言えなかった。