第24章 ぶつけあい
幻想まであと数十センチという距離で、幻想は叫んだ
「心操来ないで!!」
それを見てそいつは幻想の頬を思いっきり殴った。
その瞬間、幻想に当てられていたナイフは幻想から遠ざかる。
俺はその隙を見てそいつの腕を掴む、
「いい加減にしろよお前!!」
腕を掴むとそいつは激怒した顔で俺にナイフを向けた。
幻想にナイフを向けられないように庇った俺はそれを右手に受けてしまう。
掌をナイフが貫通し、経験したことのない激痛が走った。
だけど、今はそんな事どうでもいい
「お前幻想に何したんだよ!!」
そう言って左手でそいつを思いっきりぶん殴った。
衝撃で転んだそいつは俺の顔を恨めしそうに睨む
その顔を見て俺は腸が煮えくり返る程腹が立った。
こんな奴に…
こんな奴に幻想は苦しめられていたんだ
「お前なんかが幻想に触るんじゃねえよッ!!」
感情を全てぶつけるようにそう叫ぶとそいつは震えながら口を開いた。
「俺は叶ちゃんが好きなだけなんだよ!!」
そいつがそう叫んだのを最後に辺りは静かになる。
「…やっと応えてくれたな」
俺はそいつに個性を使った。