第23章 やさしい人
【心操人使side】
「だめだ見つからない」
電話口で相澤先生はそう言った。
相澤先生や雄英の先生たち、2年A組の生徒は総出で幻想を探していた。
しかし、しばらく幻想を探しても手掛かりは見つからない。
「今警察にも連絡して捜索してもらっている…犯人の個性は分からないから、お前たちも十分気をつけろよ」
「分かりました…」
そう言って電話を切ると隣にいた爆轟が話しかけてきた。
「先生はなんて言ってんだよ」
「まだ見つからないって、警察にも連絡はしたみたいだけど…」
そう言うと爆豪は舌打ちをして話し出した。
「…くそがッ!あいつ大事なことはいつも言わねえ!だからこんなことになるんだよ!!」
そう言うと爆豪はどこかへ向かおうとする。
「お、おいどこに行くんだよ!」
「ッるせえよ!誘拐犯が一人ならそう遠くへはいけねえはずだ…そいつがいそうな建物虱潰しにするしかねえだろ!!」
そう言って爆轟はどこかへ行ってしまった。
あいつも…幻想の事心配してたんだな…
そんなことを考えてあることが頭に浮かんだ
だけどおかしい、こんなに大勢で町中を探しているのに見つからないなんて
あいつの個性は何なんだ?
そう言えば、あいつは幻想の部屋にも現れていた。
雄英はセキュリティーがかなりしっかりしているはずなのに、
あいつもしかして…
セキュリティーの利かない個性なのか?
仮にそうだとしてもあいつの目的はなんだ?
あいつは何度も頻繁にあいつの元に現れていた…
だけど何もしなかった…
それにあの目…あいつは幻想に相当執着しているようだった。
幻想に接触するのが目的だとしたら…
街に出たとは限らないんじゃ…
そう考えハッとした。
「もしかして、学校内にいるのか?」
俺は色んなことを考えるよりも先に身体は学校へ向かっていた。
違うかもしれない…もう街に出て移動しているのかもしれない
だけど大勢で探しても見つからない状況を考えると
「可能性はあるな」
俺は今までにない程夢中で、全力で走っていた。