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嘘つきのヒーロー

第22章 歪んだ愛情


【幻想叶side】

気が付くと、目を開けても何も見えない。
目隠しをされているようだった。

それを外そうとしても腕も、足も縛られている。


私はさっき…寮に向かっていて…
そうだ、あいつにスタンガンを当てられて気絶したんだ。



「ああ、起きた?」

その声と共に肩に触れられた。

突然のことに驚いて身体を大きく震わせてしまう。


怖い…何が目的なの?
私に何する気なの?


様子を伺って黙っているとそいつは話し出す。


「ははっごめんね怖いよね!だけど目隠しは外せないよ、個性使われたら困るからね」

その声は私が本屋で出会った男と同じだった。

口調は丁寧なのに感情がこもっていない。


「…な、なにが目的なの」

恐る恐るそう言うと、そいつは私に近づいて



「僕君のこと好きなんだよ、だから君と恋人になりたいと思って」

そう言われゾッとした。


「…私は…、私はあなたの事知らない」

そう言うとそいつは私の頬を撫でた。


「僕はずっと知ってたよ、君が一年の体育祭に出た時から」

「体育祭…?」

「今でも思い出すよ、君は他の誰よりも綺麗でとても目立ってたよ」



体育祭…私は個性をうまく使えなくて、ほぼ活躍していないのに
それが何で私にこんなことする理由になるのよ


そう考えて、ふとあることに気付く。



ここ…土と草のにおいがする
それにあいつが動く度、草を踏むような音がする。


室内じゃないのね、土と草のある静かな場所。
どこなの?ここはどこ?

今は何時なの?
携帯もない…誰か私がいないことに気付いてくれてるかな

そうだお茶子ちゃん…、お茶子ちゃんと電話してたんだ私。
気づいてくれるかな…




するとそいつはまた話し出した。

「僕ずっと君の事見てたんだよ、気づいてたでしょ?君っていつもかわいいんだね」

「…部屋に、いたんでしょ。…だけど雄英はセキュリティがあるのに、どうやって入ったの」


私が聞くとそいつは楽しそうに笑った。
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