第20章 誘拐
「あっもしもし?!叶ちゃん今どこにいる?」
電話に出るとお茶子ちゃんの声がした。
「今は寮に向かってるとこだけど…どうしたの?」
「砂藤くんが皆にケーキ作ってくれたから、叶ちゃんも来るなら残しておこうと思って!」
「え、ほんと?嬉しい、すぐ帰るね」
「はーい待ってるね!」
そう言われ電話は切られた。
ケーキ…楽しみだな…
私はケーキにつられ早足で寮に向かった。
1年A組の寮が見えてきた頃、突然声をかけられた。
「そんなに楽しそうに、どこ行くの?」
その声に振り向くと、私のすぐ後ろに人が立っていた。
それが誰なのか理解するのと同時に、全身が冷たくなっていくような気がした。
あいつだ、わたしに付きまとうあいつがいた。
「なんで…」
驚く私にそいつは笑顔で言った。
「僕の事、怒らせた君が悪いんだよ」
その言葉と同時に脇腹に凄まじい電流が流れる。
その衝撃に耐えられず…私の意識は薄れていった。