• テキストサイズ

嘘つきのヒーロー

第17章 淡く危うく


「おいどうしたんだよ!」

俺はどうしたらいいんだ、これはなんだ?
何かの発作か?先生たち呼びに行った方がいいか?




立ち上がろうとしたその時、保健室のドアが開いた。


「悪い心操どいてくれ」


そう言って相澤先生は俺の身体を押した、少し焦っているようだった。



「おい、幻想…俺だ、こっちを見ろ」

相澤先生は幻想の肩を両手でつかみ幻想の顔を見る。
しかし幻想の視線は定まらないままだ。


「こっちを見ろ」


相澤先生が真剣な声でそう言い、幻想の目を真っ直ぐに見る。
すると幻想の視線は揺れながらも相澤先生の方へ向いた。



「よし、落ち着けよ。俺の声と一緒に呼吸をしろ」

そう言って相澤先生は幻想に呼吸のタイミングを促し、
幻想の肩はそれに従って上下した。


3,4分経つと幻想の呼吸は落ち着きを取り戻していった。
幻想はしばらく相澤先生の目を見つめ、力尽きたのかベッドに倒れこんでしまった。


突然の出来事にただ見守るしかできなかった。
唖然としている俺を見て相澤先生は小さい声で言った。


「悪い心操、帰ってくれないか」




その顔はとても真剣で、俺の知らない幻想を先生は知っているのだと思った。
/ 122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp