第17章 淡く危うく
「おいどうしたんだよ!」
俺はどうしたらいいんだ、これはなんだ?
何かの発作か?先生たち呼びに行った方がいいか?
立ち上がろうとしたその時、保健室のドアが開いた。
「悪い心操どいてくれ」
そう言って相澤先生は俺の身体を押した、少し焦っているようだった。
「おい、幻想…俺だ、こっちを見ろ」
相澤先生は幻想の肩を両手でつかみ幻想の顔を見る。
しかし幻想の視線は定まらないままだ。
「こっちを見ろ」
相澤先生が真剣な声でそう言い、幻想の目を真っ直ぐに見る。
すると幻想の視線は揺れながらも相澤先生の方へ向いた。
「よし、落ち着けよ。俺の声と一緒に呼吸をしろ」
そう言って相澤先生は幻想に呼吸のタイミングを促し、
幻想の肩はそれに従って上下した。
3,4分経つと幻想の呼吸は落ち着きを取り戻していった。
幻想はしばらく相澤先生の目を見つめ、力尽きたのかベッドに倒れこんでしまった。
突然の出来事にただ見守るしかできなかった。
唖然としている俺を見て相澤先生は小さい声で言った。
「悪い心操、帰ってくれないか」
その顔はとても真剣で、俺の知らない幻想を先生は知っているのだと思った。