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嘘つきのヒーロー

第15章 緩やかな時間Ⅱ


【幻想叶side】

心操が私の外出に付き添うようになってから、
あいつは姿を見せなくなった。

理由は分からないけど、不安材料がなくなったことで睡眠もとれるようになり
少しずつ調子は戻っていった。



そして何度も行き帰りを共にすると心操の事を知っていく






「叶ちゃんって心操と付き合ってるの?」
ある日の授業終わり、芦戸さんと葉隠さんにそう言われた。

「え、なに、付き合ってないけど」

突然の質問に動揺しそう答える。

「なんだー」

私の答えを聞いて二人はつまらなそうな顔をした。


「なんでそんなこと聞くの?」

そう聞くと芦戸さんがにやにやして口を開く。

「この前見ちゃったの…!休日に二人で出かけるところ!楽しそうに話してた!」


ああ、土曜日心操と歩いてたのが見られてたのか…


「あれは心操が…」

そう言いかけたところでやめる。
これを言ってしまったら、私がどんな状況なのかバレる。


「なになに―!?」

「たまたま行く方向が一緒だっただけで、途中まで一緒に行ったの」

とっさにそう言うと二人は「なんだー」と残念そうだった。


そんな二人を見てほっとしていると二人は私を交えて話を始める。



「でもさー心操くんってかっこいいよね!」

「うんうん!好きな人は好きになっちゃう顔だよね!」


二人は楽しそうにそう話す。


心操が…かっこいい…?
かっこいいの…かな。




「でもあんまり笑わないよね心操くんって」

「確かに~いつも“別に”って言ってそう」

「叶ちゃんは心操のことどう思う?」


ぼんやりと聞いていると、突然話が振られる。


「え、私?」

「そうそう、だってよく話してるでしょ?」



心操…
心操は…よく笑うし、割と紳士的だけどな。

外出する時だって私に車道は歩かせないし
私がくだらない話をしても突っ込んで笑ってくれる

「私は……」





「お前らいつまで喋ってるつもりだ」

私が話そうとすると背後から声がする。


「用がないなら早く帰れよ」

振り返ると相澤先生が私たちを睨んでいた。


「「はーい」」

芦戸さんと葉隠さんが慌ただしく教室を後にする中
私も支度をして帰ろうとする。


「まて、幻想は話がある」

「え?」

相澤先生を見ると、なんだかバツの悪そうな顔をしていた。
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