第13章 知ってしまう
「お前がしんどそうな顔するの俺は嫌だよ」
思わずそう言ってしまうと、幻想は驚いて俺の顔を見た。
久しぶりに真っ直ぐに目を合わせると、透き通るようなその目に思わず意識を持っていかれてしまう。
はっとすると幻想は俯いて話し出した。
「私は…いつまでも可哀そうな奴でいたくない。守られる側でいたくない…。お願いだから…少しの間皆には黙っていて欲しい。」
なんだよそれ、どう考えてもおかしいだろ。
納得していない俺を見て、幻想は俺の手を掴む。
「心操お願い」
その顔があまりにも必死で、思わずうなずいてしまった。
「…よかった…ありがとう」
安心したように幻想は俺の手をそっと放した。
幻想は…何でこんなに自分一人で頑張ろうとするんだ。
俺はこいつになにもしてやれないのか
そう考え、相澤先生の言葉を思い出した。
『 心操がしてやりたいと思った気持ちを信じてもいいと俺は思うよ 』
俺が…幻想にしてやりたいこと
「分かったけど、ひとつ条件がある」
そう言うと幻想はきょとんとした顔をした。
「外出する時、必ず俺も付き添わせて」