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嘘つきのヒーロー

第10章 嫉妬


【心操人使side】

授業の後、爆豪と幻想が揉めていた。
いつも気性の激しい爆豪だが、今日は特に荒々しい。


クラスの生徒の視線がそこに集まる。



「なに?どうしたの?」

俺のすぐそばにいた尾白がそう声をかけてきた。

「俺もわかんないよ」



俺は幻想や爆豪のいる場所から少し離れたところにいた。


なんで爆豪はあんなに怒ってるんだ?しかも幻想に
そう考えていると後ろから声がした。


「今日のチームでの演習、叶ちゃんがミスしちゃったんだよ」

振り返ると、芦戸がいた。
なんだか、心配そうな顔をしている。


「叶ちゃん、前も爆豪とのペアでミスしてるから…それであんなに怒ってるんだと思う」

「そういうことか…確かに幻想最近ミス多いよな」

「うん…いつもは凄く頼りになるし、判断力もずば抜けてるのに…最近は何だか疲れてるっていうか…」

「そう?元気そうに見えるけどな」

「近くで見るとクマ凄いんだよ、寝てないのかな」



芦戸と尾白がそう話しているのを俺はじっと聞いていた。




幻想と連絡先を交換してもあいつから連絡が来ることはなかった。
だから、大丈夫なのだと思っていた。



俺ってほんとに鈍いんだな…
そんな自分がなんだか悔しくて、幻想に蛙水と麗日が駆け寄るのを呆然と見ていた。







「おい心操、教室戻んねーの?」

そう声がしてハッとする。
振り返ると上鳴がこちらを見て不思議そうな顔をしていた。


「…いや、戻るよ」

そう言って教室に向かい歩き出すと上鳴が話しかけてくる。



「なあ、心操って幻想と仲いいの?」


そう聞かれてぎょっとしてしまう。

「いや別に…」

俺がそう言うと上鳴はほっとした顔をして、



「そっか、たまに話してるの見るからさ」

そう言って笑った。



その顔を見て、味わったことのない何かが込み上げてくる。



「なに?上鳴は幻想の事好きなの?」

俺がそう冷やかすように言うと、上鳴は照れながら頭を掻いた。
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