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嘘つきのヒーロー

第8章 焦り


なんで…そんな顔するんだろう。
怖い思いをしてるのは自分なのに。

どうしてそうまでして大丈夫なふりをするんだろう。


そう思い幻想の顔をじっと見ると幻想は不思議そうな顔をする。


「…?、なに?」

「いや、なんも…」

「そっか…今日はありがとう、」


幻想はそう言うともう大丈夫だから帰るように促した。
それを見て思わず口にしてしまう。


「…幻想、また何かあったら連絡して」

そう言うと幻想は驚いた顔をして、ふふっと笑った。


「ありがとう、でも…連絡先知らないよ」

あ、そうだ。何言ってんだ俺


「じゃあ、これ、登録してよ」

俺が携帯を取り出すと、幻想も携帯を取り出した。


登録された画像を見ると、クラスの女子と撮った写真。


なんだか普通の女子みたいで、
女子と連絡先を交換したんだと実感してしまう。



「ありがとう、こんなにしてくれて」

「いや、いいよ。ノートのお礼…的な」


俺がそう言うと幻想は「そっか」と笑う。


その顔を見て意外と幻想はよく笑うやつなんだなと思った。
笑っている方が、いいのに。



笑っている方が、断然…







そう考え、やめた。




自分の部屋に戻り、ベッドに倒れこむと一日の疲労がどっと押し寄せてくる。

「あー…ねむ」


ふと携帯を見ると、幻想の連絡先が表示されたままになっていた。




クラスの女子と撮った笑顔の写真。
きっとあいつクラスのやつら好きなんだろうな。

いまいち何を考えているか分からないと思っていた。
だけど、色んな事…考えてるんだよな



自分の持ってる個性でヒーローになろうと
いい訳なんかしないで、努力をしようと…



ああ、俺も負けないようにしないと






そんな事を考えている間に
俺は深い眠りに落ちていった。
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