第7章 蝕み
相澤先生の個性は“抹消”
私の目を見ても個性を消すことができるからなのか、相澤先生が優しい人だからなのか、
相澤先生はいつも私の目を見て話してくれる。
信頼している。
だけど昨日の事は話したくない。
もしかしたら見間違いかもしれないし
本当だとしても相澤先生は絶対心配する。
「大丈夫です」
「大丈夫じゃねえだろ、」
「大丈夫です、ほんとに」
「大丈夫大丈夫って言うやつは大抵何かあるんだよ」
私が大丈夫だと言い張ると先生は大きなため息をついて問うのを諦めてくれた。
どうしても言いたくない。
あれが本当に不審者だとしても、あれくらいの事自分で何とかできるようにしたい。
早く強くなりたい。
早く一人前のヒーローになりたい。
その気持ちは私の身体を強張らせていった。