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嘘つきのヒーロー

第1章 はじめまして


【心操人使side】



なんか、よくわからないやつ。



イレイザーヘッドの力を借りて何とかヒーロー科A組に編入した俺は、
隣の席のそいつを見てそう思った。




『幻想叶』


近くで見たそいつは黒髪を胸あたりまで伸ばしていて、
白い肌には長いまつげが線を引いていた。



噂だけなら嫌と言うほど聞いた。


「ヒーロー科のA組に綺麗な子がいる」
「目を見ると記憶を消されるらしい」


女子の容姿にさほど興味はなかったが、そんな個性のやつがいるのかと心に留めていた。



そんな珍しい個性なら一年の頃から話題になりそうだけど…
そんなことを考えながら幻想を見ていた



窓際の席の幻想はどこか気だるげに目を伏せている。

無意識に幻想を見つめていると幻想がこちらを向いた。
突然のことに為す術なく目が合ってしまう。






その目を見て一瞬息が止まった。


透き通るような青色、今まで見たこともないような綺麗な目
しかし、真っ直ぐこちらを見るその目はどこか哀しい



思わず見入ってしまって、しばらく見つめあうと幻想は口を開く



「…なに?」

「あ、いや…よろしく」

俺がとっさにそう言うと幻想は俺をじっと見て

「よろしく」

そう言って視線を戻した。



なんか不愛想な奴だな。
まあ…俺も人のこと言えないけど


そんなことを考えていると相澤先生が俺を呼ぶ


「心操は編入して早速だが、今日は忙しいぞ」

そう言って今日の予定を淡々と説明していった。




先生の説明によると今日のメインは対敵(ヴィラン)訓練





ヒーロー科編入の一日目、俺は誰よりも遅れている。
そう思うと無意識に身体が強張っていった。
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