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嘘つきのヒーロー

第6章 心づく


【心操人使side】


「部屋どこだっけ…」

寮に帰り自習が終わると、
俺は幻想にノートを返すためにあいつの部屋を探していた。


場所が分からず女子寮をうろうろする俺に誰かが声をかける

「どしたん、心操くん?」


そう言われ振り返ると麗日が俺に話しかけていた。



「あ、いや、幻想の部屋が分からなくて」

「叶ちゃんなら三階だけど…」


そう言って僅かに不審そうな顔をする。


「あー…ノート、ノート借りたから返すだけ」

「あ、そっか」


俺がそう伝えると、麗日は「なんだ」という顔をして部屋に戻っていった。


そうだよな、もう時間も時間だし
変な噂でも立てられかねない

早く返して部屋に戻ろう


そう考え幻想の部屋に向かうと、幻想は部屋のドアの前に立っていた。
なんで部屋の前に突っ立ってんだ?


なんだか、妙な雰囲気がある



「幻想、」
そう声をかけるとビクンと震えて振り返る。

その顔は何かに怯えているようだった。


「どうしたんだよ」

そう言うと、幻想は俺の顔を見てほっとした顔をした。


「ああ、心操…ううん、なんでもない」

「顔色すごい悪いけど…部屋に虫かなんかでた?」

「いや…虫じゃないよ」

「じゃあなに…」


そう聞くと「ほんとに何でもないから」と俯いてしまった。
その顔を見て俺はそれが嘘だと理解する。


「…おい、ほんとに…」

「心操は、私に何か用があったの?」

おれが言い終える前に幻想はそう問いかける。
その顔には先程の暗さは残っていない。



「ああ、そうだった、ノート返しに来たんだよ」
俺はそう言って幻想にノートを手渡す。

すると幻想はそれを見て俺にノートを返した。


「これ、心操が必要かなってまとめたやつだから、私は自分用に持ってるよ、だからあげる」


それを聞いて俺は驚いてしまった。


自分用に持ってるって?
じゃああの緻密にまとめられたノートは、わざわざ俺の為にまとめたのか?

なんで俺にそこまでしてくれるんだよ
そう考え、相澤先生の言葉を思い出す。


『幻想とお前は色々似てるからな、…お前が編入する時もA組に入れろってうるさかった』



なんでそんなに…
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