第4章 不器用なやさしさ
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「あのクラスは皆あんな優しいんですかね…」
相澤先生との特訓の休憩時間、俺はそう呟いた
「どうした心操」
相澤先生は俺の顔を見て驚いた顔をしている。
あれから俺は何日か幻想のノートを使って勉強をしていた。
ノートを開く度感じる。
あいつの努力と、
それを俺に貸すことの優しさを
あいつにとっては俺だって、負けたくない敵だろうに
「いや、幻想が俺にノート貸してくれたんですよ、俺に役に立つ情報ばっかり。教えない方が絶対にいいはずなのに」
そう言うと先生は「ああ」と言って視線を戻した
「A組のやつらは比較的そういうやつ多いけどな、幻想は特別お前に思い入れがあるんだろ」
「俺に?思い入れですか?」
理解できずに先生の顔を見ると、やれやれといった顔をする。
「幻想とお前は色々似てるからな、…お前が編入する時もA組に入れろってうるさかった」
そう言って相澤先生は心底疲れたような顔をする。
それをみて幻想が相澤先生に騒ぎ立てる様子を想像すると、
なんだか可笑しかった。
「なんか、意外ですね」
「…なにがだ」
「幻想はあまり騒いだりするように見えないので」
そう言うと先生は少しの間考えて
「…俺にはうるさい奴に思えるがな…」
と眉間にしわを寄せた。
「先生にはどんな風に見えてるんですか…」
そう言うと怪訝な表情から一変、真剣な顔をする。
「あー…まあ、課題はまだまだ多い生徒だな」
そう答えると相澤先生は時計を確認して立ち上がった。
「そうは言ってもお前の方がまだまだだ、続きやるぞ」
今日は金曜日で、明日は休みだ
空は暗くなり、俺の体力が限界になるまで付き合ってくれた。