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嘘つきのヒーロー

第4章 不器用なやさしさ


【心操人使side】

一日の授業が終わり、俺は同じことを悶々と考えていた。


『 心操は勘違いしてるよ、一対一の戦闘で一番不利なのは君だけじゃない 』


幻想のあの顔、あの言葉。


あの状況、どう考えても不利なのは俺じゃないのか?
目を開いた状態でなくては戦えない中、俺の個性は会話しないと使えない


俺こんなんでヒーローになれるのか。




「…くそ…」


消化できない気持ちに苛立ちを覚え、席を立った。
いい加減教室を出ようとすると背後から声がする。



「心操、」
そう呼ばれ声のする方を見ると幻想がいた。



真っ直ぐで純粋な…見透かされているようで嫌になるほど綺麗な目。




「これ、あげる」


そう言われ差し出されたのは一年の授業のノート
何科目もの授業のノートが束にされていた。


「…え、なに?」
意図が分からずに困惑していると、幻想は続けて


「二年の授業は一年の授業の応用もあるから、見といた方がいい」
そうぶっきらぼうに返されてしまった。



なんだよ。
今日俺に圧勝したからって、憐れんでるわけ?

腹の奥から悔しさがまた込み上げてくる。



「…なに?随分余裕なんだね、こんなに優しくしてくれるなんて」
そう自嘲すると幻想は俺の目を見るのをやめた。


「余裕か……、余裕なんて全然ないよ」

「ならどうして…」
そう言い終えるより先に幻想は話し始める。


「ただの私情、心操が編入してきて嬉しかった。だから頑張って欲しい」

そう言ってノートの束を俺に押し付けた。



やっぱり余裕じゃん。
そう思うと段々と腹が立ってきた。


「要らないよ、自分で何とかする。」
一度受け取ったノートを返そうとすると幻想は受け取らない


何なんだこいつ。
そう思うと同時に今日言われた言葉を思い出した。


『 心操は勘違いしてるよ、一対一の戦闘で一番不利なのは君だけじゃない 』


一番不利なのは…


「なあ、今日言ってた一番不利なのは君だけじゃないってどういう意味?
どう考えてもペルソナコードも使えないあの状況じゃ力負けするのは俺だと思うんだけど」



そう聞くと幻想はまた俺の目を見た。
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