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嘘つきのヒーロー

第35章 二人で一緒に


「えっ心操なんでここにいるの?」

「お前に用があって追いかけてきた」


そう言うと心操は取り上げた袋をその人に返した


「悪いけど俺らはそういうの受け取らないように言われてるんだ」

「だっ…だけどこれくらい…」

その人が慌てて何か話そうとすると心操はそれを遮って



「幻想は俺と付き合ってるから」


とても低い声でそいつに言った

_________

「あんな言い方よかったの?付き合ってるって思われちゃうよ」

私がそう言うと心操は少し不機嫌そうに

「別に…どう思われてもいいし」

そう言って俯いた
そんな顔を見ていると、私はさっきの言葉を思い出した




「そういえば用事ってなに?」

そう聞くと心操はハッとしてポケットから何か紙を取り出した
それを受け取ると、とあるヒーロー事務所の需要が書かれている


それを見ても状況を理解していない私に心操は言った



「幻想、俺と同じヒーロー事務所に来ないか?」

「え?」


あまりに突然の誘いに思考が停止してしまう


「いやいやヒーロー事務所って基本スカウトされないとインターン行けないし…」

「俺は相澤先生の紹介だから…さっき聞いてきたんだよ幻想も同じ事務所に行けないかって、そしたら大丈夫だって」

「だ、だけど同じ事務所に入る意味って…」


私がそう言うと心操は私の目を見た




「俺たち…将来タッグでヒーローにならないか」

そう言われ息が止まった



心操は覚えてたんだ、あの話
ちゃんと考えてくれてたんだ


そう思うと胸が熱くなっていく




「それなら同じ事務所でインターン受けた方が都合がいいし……幻想が嫌なら全然断ってくれて構わないんだけど」


そう言われ私は言葉を失ってしまった



行きたい
心操とヒーローになりたい



「一緒に…行きたい」


私が小さな声でそう言うと心操は嬉しそうな顔をした


「これからずっと先も、二人で頑張ろうな」


そう言われて馬鹿みたいなことを考えてしまう


「プロポーズみたいだよ、それ」


私がそう言って心操をからかうと
心操は首を搔くだけで何も言わなかった


「あ、ごめん、冗談だから」


困らせたかも
そう思って心操の顔を覗く


すると心操は私から目を逸らして







「俺はそれでもいいよ」

俯きながらそう呟いた
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