第34章 過ぎていく時間
「まあお前の言いたいことは分かる、この誘いはお前の話題性に起因する部分は大きい」
「はい…私にこういう華やかな事務所は向いてないと思います…」
私がそう言うと相澤先生は軽いため息をついた
「気持ちは分かるけどな、インターンに行きたいなら誘いの来ている所から選ぶことになる、妥協点を考えたほうがいい」
そう言われ何も言えなくなってしまう。
確かにそうだ。
インターンに行くならこの中から選ばなきゃ…
「考えておきます…」
そう言うと相澤先生は少し心配しているようだった。
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「心操はインターン先決まったの?」
「決まってるよ」
「そっかそうだよね…」
私がそう言うと心操は不思議そうな顔をした。
「幻想はまだ決まってないの?俺よりも誘い来てると思うんだけど」
「来てるけど…」
来てるけど…
私は芸能活動もするような、華やかなヒーローになりたいわけじゃない。
心操はあの時言ったこと忘れてるのかな、
一緒にヒーローになろうって言ってくれたこと
『 俺と幻想なら、相手の目と口を塞げる。それって強いと思わないか 』
ハンデを補い合ってヒーローになろうって言葉
あの言葉は本当に嬉しかったのに
私が芸能関係のヒーロー事務所に行くことになったら、
私の進行方向はそっちに向いてしまうのに。
心操はあの時の言葉なんか覚えてないのかな
そう思うと何だか悲しかった。
「…今日はもう帰るね、特訓頑張って」
「…え、ああ、ありがと」
私はそう言って席を立ちあがると、突然のことに心操は驚いていた。
本当に忘れちゃったのかな
あれはただの慰めだったのかな。
教室を出る時心操を見ると、心操は何か考えているような顔をしていた。