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嘘つきのヒーロー

第3章 幻想叶の個性


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だから、私はヒーローを目指した。
理不尽な悲しみから誰かを救うために



行き場のない感情をぶつけるように、ヒーローになるための努力をした。



二人を助けられなかった自分が大嫌い。
だから、私は一人で強くなりたい。


一人でも誰かを救える人間になりたい。





雄英の1年A組には才能あふれる生徒が揃っていた。
みんなヒーロー向きで真っ直ぐな心を持っている。


みんなとても優しくていい人、
だけどその中で私の個性は少し浮いているようだった。




皆の成長を知る度に私の焦りは加速する。
上手く使いこなせない個性に嫌悪する。



……だけど諦めたくない。弱音など吐きたくない。
弱い事に言い訳をしたくない。









対敵(ヴィラン)訓練
私が心操を捕まえたとき、


「ヒーロー科って、やっぱレベルが違うよな」

仕方がないと言うような顔をした。


言葉ではそう言っても心操の目は悔しさに満ちていた。



ヒーロー科だから?全然違うのに…、心操は確かに大きなハンデがある。
口を開かせるっていうのは一対一ではハードルが高い。



だけど…


私だってとても大きいハンデのある個性だ。


目を塞がれれば使えない、
目を合わせなければ使えない。
対策されていればそれだけ個性は使えない状況になる。



私だけじゃない
状況によっては誰だってそう。



だから、そんなこと言わないで欲しい。



心操は私に似ている。
個性のタイプやハンデの大きさじゃない。


「どうしても」を抱えて卑屈になる私に似ている。
悔しくて悔しくて、もがいている私に似ている。







「心操は勘違いしてるよ、一対一の戦闘で一番不利なのは君だけじゃない」


そう私が言うと心操は私の顔を見て、
何も言わず何か考えているようだった。
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