第9章 陰陽師の女の子
「ハッ…それがお前の正体か?妖怪!!
滅してやる…妹を騙していいのは兄だけなんだよ…!!」
オレはゆらを安全な場所に移動させる
ゆらの兄は違う式神を取り出した
「式神融合、"仰言"」
一気に水が霧となり、霧が晴れるとそこには水の花が大量に浮いていた
「な…なんや…花?水の花!?」
「ただの水ではないぞ。
仰言よ、地に根をはり…花を咲かせて魅せよ」
一つの花が足元にいたカエルに向かって落ちてゆく
花がカエルにぶつかると、カエルは溶けてしまった
「式神仰言は金生水の花…金生水とは、金の表面に凝結により生じた水滴を集めたもの。
その純度は99.9999%…最も澄んでいて…もっともやわらかい水…まさに水の中の水!
この世で最も腐蝕を促す液体は"酸"でも"王水"でもなく…純粋な水そのもの。
式をまじえたこの花にふれれば…どんなものもたちまち溶ける…たとえ妖怪でもだ。
仰言にいままで"3分"と耐えた者はいない!
この式神は…それ程に強力な物だ…!!」
「3分…」
「そう…3分が限界。お互いにとってな。
あいにく…オレにはゆらや魔魅流のような"才能"がないんだ…オレごときではこの強力な式神を出し続けるのは"3分"が限界なのだよ。」
…やたらと3分を強調しやがるな…
「つまり、3分間お前が仰言に耐えたならお前の勝ち。耐えられなければオレの勝ち…というわけだ。
やるかやられるか、大勝負だ!!
我が生涯最高の技、金生水の花!!」
水の花が襲いかかってくる
花を斬ろうものならその水しぶきが頬を掠めるだけでその部分が傷となる
姉貴の的より厄介だな…
オレは何とか花を避けていく
「しぶとい野郎だ…そいつは妖刀か?それがなきゃ、とっくに葬ってるはずだがな…だが、そろそろ耐えるのも限界のようだな…。
これが最後だ」
少なくなっていた花が一斉に襲いかかってくる
それを何とか耐えたが…
「3分間、ごくろうさん。」
オレの足元に水の陣が現れる
やっぱりな…オレはバレないように姿を消す
「異形のものよ、闇に散れ。
仰言、金生水の陣!!
オレは才能がないのでね…こいつを作るのに…時間がかかるんだよ…3分程な。」
今なら油断してるな
オレはゆらの兄の首に刀を突きつける
ゆらの兄は慌てて陣を確認した