第9章 陰陽師の女の子
「うるさい!!勝手やろ!」
「ゆら…名前ってのは重要なんだぜ。
"餓狼""喰らえ"」
花開院さんのお兄さんは狼のような式神を繰り出す
「貪狼!」
花開院さんも狼のような式神で防ぐ
すごい…これが花開院さんの力…
だが、そこから花開院さんのお兄さんが本領を発揮する
花開院さんのお兄さんの術も言葉も嘘ばかり
花開院さんは翻弄されていた
何度も花開院さんは攻撃を受け、ボロボロだ
「けーかいんさん!!
ひどい…何もそこまで、あんたお兄さんじゃないのか!?」
「キレイごとをぬかすなよ、妖怪のくせに」
花開院さんのお兄さんはボクを睨む
「だ…大丈夫や奴良くん…」
「花開院さん」
「私は…餓狼なんかに…喰われたりせんよ」
「…餓狼に…喰われる?何を言ってる?
そんな芸当、こいつに出来るわけないだろ?」
「え…な…なんや…これ!?」
花開院さんの口から水が溢れる
何だ…何の術だ?
「ゆら…お前は言葉そのものにふりまわされすぎだ。
いいか…オレは"餓狼""喰らえ"としか言ってない。
本当はいうなれば"餓狼を喰らえ"だ…しかし敵は餓狼と聞いて攻撃型の式神を想像する。
敵に偽りの言葉を与え…そのイメージで敵を縛るんだ。
そうすれば敵はただ餓狼の攻撃を防げばいいと思い、術中にはまる。
最初からその式神を体に忍び込ませることが目的だったのだ。
ちなみに"餓狼"も偽りの名。正式には"言言"という。
"言言"走れ」
花開院さんのお兄さんがそう言うと花開院さんの周りに水が溢れる
とても、苦しそうだった
「水の式神"言言"は体中の体液という体液を自在に暴れさせることが出来る。
式神を使いまくることだけが陰陽師の業ではない。
学べよゆら…言葉を操る事も立派な陰陽術!」
「花開院さん…」
「お前は何も知らなすぎる。だから、こんな男にも振り回される。言言は苦しいだろう?
だがこれも"愛"なのだ。今なら、まだ許してやるぞ。そのまま死にたくなければ戻ってこい!!」
花開院さんのお兄さんは花開院さんの胸ぐらを掴む
ダメだ…これ以上は…
オレが…
「花開院さん…悪い…我慢できない。
陰陽師だか、花開院だか知らねぇが。仲間に手を出す奴ぁ…許しちゃおけねぇ!!」