第9章 陰陽師の女の子
「餓狼、喰らえ」
花開院さんのお兄さんは再び狼のような式神を繰り出してきた
「え…」
まずい、避けられない
「お兄ちゃん!!」
花開院さんが止めようとする
「お前もやるんだ、ゆら。
ずぅ〜っと、教えて来た筈だぜ。
妖怪は絶対"悪"会えば即滅しろと」
気付かれた…!!
花開院さんにもバレた…確実に!!!
そうだ…転校してきた時から…最初から…彼女の目的は妖怪退治!
いつか…こうなるんじゃないかって思ってた…
バレたく…なかった
花開院さんのお兄さんの式神をギリギリの所で避ける
「カハ…ゴホッゴホッ」
土煙が舞う
「まだ、正体を顕す気がないか?
人に化け…たぶらかす妖怪よ…
人の姿のままでは心が痛むが…絶対"悪"は滅するのみだ」
再び式神を向けてきた
今度こそ避けられない…そう思った時だった
「これでいい…ゆら。さて…本題に入ろうか」
ボクの目の前で花開院さんが護符を展開していた
「…え?」
「おいおい、何のつもりだ…ゆら…」
「け…花開院さん…?」
「…奴良くん、奴良くんは…
奴良くんは…人間やんな?」
花開院…さん?
気付いて…ない?
いや、違う…この目は、疑ってる目だ
疑っている、それでもなお…ボクが「人間だ」って言うことを…待ってる目だ…
そうだ…ボクは人の敵じゃない!!
「ボクは…人間だよ!」
「うん!!
お兄ちゃんきいたやろ。
リクオくんは敵とちがう!!」
「……自分のやったことがわかっているのかお前は…
妖怪をかばうのは花開院家の掟にそむくことだ。
この兄を信じられんのか。」
「私は奴良くんの言葉を信じる。
奴良くんは私の仲間(クラスメート)やもん。
倒さなあかん敵じゃない!!わからんのやったら…お兄ちゃんといえども、私が倒す!!」
「倒す…?ゆらよ…自分の言葉に責任を持てよ…」
そう言った花開院さんのお兄さんの目は本気だった
「廉貞!!」
花開院さんは金魚の式神を繰り出す
「式神改造、人式一体
黄泉葬送水包銃!!」
ボクは一瞬耳を疑った
今、よみおくりゆらMAXって言った?
いや、今はツッコまないでおこう
「なんだ…?その技名は…ゆら…お前が自分で名付けたのか…?」
花開院さんのお兄さんは護符を展開し攻撃を防いでいた