第8章 休息
「うおっ…」
半分程的が斬られたところで、的が動き始める
『じゃ、あと三分で全部斬ってね』
そう言うとリクオは刀を握りなおした
順調に的を斬っていく
『後十個か…』
思ったより順調ね
再びパチンと指を鳴らす
すると的が変化した
「なっ…」
的は人の形を型どり、刀を持つ
『あと二分〜』
「反則だろ!」
そう言いながらも的を倒していくリクオ
『はい、終了〜』
時間ぴったりにリクオは的を倒し終える
「的が変化するなんて聞いてねえぞ!」
『言ってないわよ。
いつ、どんな敵でも対処できるようにしないとね?』
リクオは少し拗ねた顔をしていた
「姉貴だったらどれくらいで倒せる」
『?今リクオは五分だったから…三分くらい?』
「それくらい差があんのか…」
『やってみようか?』
「…おう。」
リクオが後ろに下がる
パチン
指を鳴らすと先程と同じ的が出現する
今回はリクオと同じ様になるよう、自動で変化する仕組みを最初から組み込んだ
『じゃ、時間はかっといてね』
「おう」
スタートの合図と同時に私は刀ではなく弓を作り出す
実体化はさせられるが、持久時間は短い
五本の矢を弓につがえ、そのまま放つ
矢は的に命中する
順調に残り十個まで的を減らす
ここで、的が変化する
刀を持った敵へと変わる
私は弓を消し、刀を握った
『よいしょっと!』
敵を順調に倒し終え、リクオの方を見る
「…早すぎんだろ」
『そう?時間ギリギリで焦ったわよ』
「というか、弓はずりぃだろ」
『私の畏のひとつだからね。ズルじゃないわよ』
「畏…」
『ぬらりひょんの畏は今の特訓では向かないけど…本当の戦いならとても役に立つどころか…敵よりも大いに有利になる。
リクオはぬらりひょんの畏ってどういうものだか分かる?』
「ぬらりひょんの…畏」
『…まずは、それを掴むところからかな。
私はヒントは出さないからね。自分で答えを見つけてこそ価値があるから』
「聞くつもりはねーよ。」
『ならよし。じゃ、今日はここまで』
「おう、明日も頼むぜ」
『……明日も…』
「姉貴が許可したんだからな。」
『そうね…。相手するわよ』
私とリクオは地下道場を後にした